こんにちは!
普段私たちは主に小学低学年〜高校生までスクールを開催しています。
指導者として、
「選手にわかりやすく言葉を伝える」
という事はとても大切な事だと感じています。
小学低学年に向けて使う言葉や表情、態度と
高校生に向けてでは全く違うものになります。
指導の内容もせっかく一生懸命伝えても、
相手が理解できなかったら残念ながら意味がありません。
同じ年代でも持っている語彙力の豊富さに差があります。
性格やタイプによっても使う言葉や
情報量をコントロールしていく必要がある事は間違いありません。
言葉は伝わらなければ
コミュニケーションも成立しないですね。
それでは信頼関係を築き、
良いチームや選手を育成する事はできません。
今回は、
・選手にうまく伝える事ができない
・より的確に指導内容を選手に伝えたい
・コミュニケーションを通じて選手の距離感を縮めたい
そんな監督や指導者、
コーチの方々のヒントになれば幸いです。
※チームの作り方やチームワーク向上の記事については、
こちらからまとめて見れます。
↓↓
指導の為のチーム力向上:まとめ記事
目次
指導者が選手に伝える為の心得①:前提の確認・共有
まず最初は、
「前提の確認・共有」
です。
当然野球を始めたばかりの選手はルールもわからないですし、
野球で使われている言葉はわかりません。
なので
・相手がどれくらいの知識量があるのか
を見極める必要があります。
これは技術指導でも同じです。
相手がどれくらいの技術向上の為に何を考えて、
どのような論理をもっているのか。
という事を見ていく必要があります。
相手の前提となる知識量に、
差があると指導はやりづらくなります。
その確認を怠らない事がまずは大切になります。
前提知識の共有と、
相手がどこまでできるかを推し量る必要があります。
この作業を怠ってしまうと、
選手は何について言われているのか全く理解できなくなります。
それで
「ちゃんと聞いてんのかーーー!」
とブリブリ怒ってしまうのは・・・私たち指導者の責任ですね(笑)
指導者が選手に伝える心得②:範囲の提示
何かを相手にインプットして行く時には、
何のどこまでについて教えるのか
その範囲を伝えていきます。
当然ながら一度に情報を処理できる量は違います。
小学低学年なら少なくなりますし、
年代が上がれば情報をどんどんインプットさせるのも良いと思います。
・何の事なのか
・どこまでの話なのか
を明確にまずはしてあげる事でアレコレと
選手が情報を整理する事をしなくて済みます。
「シンプルに伝えていく」
事ができれば選手の理解も成長スピードも早まるはずです。
うまく伝えられない人はゴールが
不明確なまま説明を続けてしまう傾向がありますね。
一方的に話しすぎてしまったり、
あれこれの情報を整理しない状態で話す事は
避けていきたい所です。
指導者が選手に伝える心得③:構成の工夫
相手に伝えやすいように順番や
展開を工夫する事も大切です。
話しの繋がりを見せたりするのもいいですね。
例えばバッティングであれば、
「割れをつくると筋肉がゴムのように引っ張られて反動が出るよ。それで強いスイングができるよ」
と伝えてあげるとほとんど選手が割れの必要性を理解してくれます。
○○すると○○になって○○になるよ。
と因果関係から説明してあげると良いと思います。
絶対にやってはいけない事は、
その場での思いつき指導
ですね。
毎回指導内容が違ったり、
繋がりがないままやる事は
全く意味がありません。
また選手も枝葉ばかりの情報に頼ってしまうので、
間違った方向に行く事がほとんどです。
多くの方がこの部分で苦心されています。
指導者が選手に伝える心得④:比喩の活用
相手の年代やレベルに合わせて
理解できる概念、概要をイメージさせる事が必要です。
私たちだったら筋肉の動きは、
良く「ゴム」に例えたりしていますね。
小学低学年に
「軸足股関節の内旋を使って前足に質量を移して支点にする。
前足は伸展させながら股関節は内旋が深くなって骨盤が前に出てくる。それによってスイング軌道がボール軌道に入りやすくなってスイングプレーンが出来上がって、それが肩の回転面とボトムハンドの上腕骨の回転面を合わせて打つと力の効率が最大化されるんだ、だからそうやって打とう」
と言っても何の事がさっぱりですよね(笑)
ちなみにこれを優しく言い換えると、
「打つ時に前足は伸びて、後ろ足を回す」
という事だけです。
(端折ってますが)
伸展→伸びる
内旋→回す
という事ですがいちいち難しく伝える事は、
あまり意味がありません。
(指導者は的確に指導していく為に知っておく必要があります)
小学低学年くらいであればこれくらいの、
言葉を選択しないと伝わりません。
専門用語を多用すると、
相手は途端に理解不能になります。
時々知っている知識をアピールしているのか
難しい言葉を使う方がいますが
ほとんど意味はないと考えています。
指導者が選手に伝える心得⑤:情報量の調整
先ほどからも少しお伝えしていますが、
相手が理解できる処理能力を推測していきます。
場合によってコントロールしたり、
要点を絞る事は必須になりますね。
良く少年野球では1時間くらい長〜〜く座って、
MTGしていますが一晩寝たらほぼ忘れているでしょう(笑)
自分が伝えたいだけのエゴ指導で選手は、
応えてくれる事はありません。
それでいて
「あんなに真剣にMTGしたのに・・・」
という事もあるかと思います。
確かにその思いは素晴らしい事ですが、
あくまでそれは大人都合の話しです。
コミュニーケションは、
「伝える」でなく「伝わる」
事として重点を置かなくてなりません。
指導者が選手に伝える心得⑥:スピードの調整
相手の理解が追いつく、
スピードを調整して話していきます。
ペースを合わせてあげないと
せっかくの言葉も伝わりません。
理解できないまま進むと、
選手は思考を止めてしまいます。
ちなみにですが選手には
・聞くのが得意(聴覚優位)
・やるのが得意(体感覚優位)
・見るのが得意(視覚優位)
など人によって得意な感覚器があります。
これも合わせてあげる事が必要ですね。
・やるのが得意なのであれば適度な説明だけでどんどんやらせる。
・見るのが得意なのであれば説明しながら見本も見せる
・聞くのが得意なのであればじっくり説明して理解させてからやる
このようなにできる良いと思います。
指導者が選手に伝える心得⑦:語彙の選択
相手にとってわかりやすい、
言葉を選んで使っていきます。
特に少年期では同じ年代でも語彙力に差があります。
私たちは普段から意図的に、
子ども達の会話をしているので
語彙の選択には敏感になっています。
繰り返して行っていけば、
どの言葉は一番適切であるか
がわかってきます。
あえて子ども達で流行っているものなども、
調べたりしていますね。
それによって目線を下げる事を、
あえてするようにしています。
大人ばかりと会話していたり、
自分の興味のある事ばかりしていると
どうしても目線が上に行きがちです。
それはとてもいい事ですが、
子どもと相対して伝えて行く時には、
「どれだけの年代と対等に付き合えるか」
の方が大切です。
年代が下ならそこに合わせる。
そして上に少しずつ引き上げて行く。
年代が上なら更に上に引き上げて行く。
指導者として選手を育成していくには、
相手と同じ土俵に立てる事が必要です。
なので、
その幅の豊富さが育成にも関わってきます。
指導者が選手に伝える心得⑧:相手のケア
相手が今説明に対してついてこれてるか調整をします。
コミュニケーションは双方向の性質をもっています。
「今の話し理解できた?」
「今、聞いてた?」
など主導権を渡してあげる事が必要です。
自分だけが好き勝手話していては、
相手の心はどんどん離れています。
指導者が選手に伝える心得⑨:レッテルを貼らない
ここからは伝えるスキルというよりは、
指導者の心構えについてです。
1つ大きな大切な事は、
「レッテルを貼らない」
という事です。
もちろんうまく使えばいいですが、
・あいつは守備が下手だから試合には出さない
・あいつは声が出ないからダメだ
・あいつはいつもおちゃらけていて信用できない
などの様な感じですね。
確かにどんな選手にもそのように
良くない面は持っていると思います。
ただし、そのままそのレッテルを貼り続けてしますと
常にそういった目で選手を見てしまいます。
・以前に比べれば随分守備が上達している
・声はまだ出ないけど、その分ジャスチャーを使ってカバーしている
・実はおちゃらけているのはたまたまで真面目にやっている
そのような選手の成長を見逃す事に繋がります
レッテルはうまくプラス方向に使うべきです。
・守備が○○の得意なトコだよね
・バッティングの積極性は素晴らしいよね
・いつも真面目にやっているよね
こんなレッテルを貼ってあげれば選手は、
それを自覚してメキメキと育ってくれるはずです。
指導者が選手に伝える心得⑩:自分の哲学を持つ
最後にお伝えしたいのは
「自分の哲学を持つ」
という事です。
今現在、
私が野球界にいる中で感じている事は
「情報が錯綜している」
という事です。
昔ながらの感覚的な指導もあれば、
エビデンスに基づいて指導されている事もあります。
私たちは私たちなりの、
哲学と信念をもって普段から活動しています。
簡単に答えの手に入る時代になった今では、
何が正しいかという事は
また進化してより発展いくと思います。
それでも私たちは私たちなりに考え
「野球指導を通じて子どもの未来に何が残せるか」
という事について問いを自分自身へ投げかけ、
そして信じて進んでいます。
絶対的な正しさは恐らくないと思います。
指導者自身がいろんな情報に触れ、
それを自らの頭で考え、
そして実行していく。
この事が大切と感じています。
ぜひこれをきっかけに、
自分自身へ問いを投げかけてみてください。
誰かの言葉を借りるより、
誰かの話しを聞いた事を伝えるより、
何よりも自分の考えを自分の言葉で伝える。
それが選手に一番響くと思っております。